その後の経験2

運命と言うのはそうなると最初から決まっているのだろうか。もしそうでなければあの渋滞の場所に戻り違う選択をしてみたい。そうすれば今私は天井を見上げ、動けない自分を悲しむこともなかっただろうに。。。。

と、何度そう思ったか分からない。

 

 

あの時、渋滞を避けるために裏道を使ったとき交通事故を起こした。それは大きな事故で車が飛び、角に建っている家に相手の車がぶつかり家を破壊した。事故の詳細を記することはやめるが、ただ自分の名誉のために言わしていただきたいのは私はルールを守って走っていたこと、相手は守っていなかった、これは明らかな事実である。従って私は罪にも問われていない。

 

とにかく私は救急車を呼んだ。その時はまだ体が動いていたからだ。救急車が到着し気を失っている事故の相手を乗せて行ってくれと救急隊員に頼んだ。

「あなたも乗ってください」

「いえ、私は大丈夫です」

「痛いところはありませんか?」

「頭が少し痛いだけです。でも大丈夫ですからあの方を早く病院に連れて行ってください」

「あなたも乗ってください」

「私は大丈夫です」

「わかりました。ではこうしましょう。念のために乗ってください。それならいいですね?」

「?・・・・念のため?・・・・・なら乗ります」

後に、この救急隊員が私を救ったのだと判った。私は病院に着いた時には歩けなかったのだ。もしあのまま帰っていたら首の神経が切れて半身不随か全身麻痺になっていたと後で聞いた。

そんなこととは知らず、外傷がなかったため簡単な治療を受けてすぐに家に帰れると思ったがそのまま入院と言われた。

「すいません。入院はできないんです。愛犬たちが待っていますから」

と医師に言ったが、完璧な無視をされ担架で病室に運ばれ絶対安静を言い渡された。後に医師が言うには重篤な患者ほど「入院しない」とか、「大したことはない」と言うらしい。見るからに重体の私がうわごとのように、”愛犬のために帰る”と言ったとき重体だと確信したと言う。私はなんとか帰ろうと、「1匹じゃないんです。3匹なんです。私がいないとダメなんです」とダダをこねたが聞き入れられるはずなかったのだ。

 

 

その日から私の生活はベッドの上のみとなった。ふと腕を見るとおちょぼ稲荷で買ったブレスレットをはめている。確か、危険なことから守ってくれると聞いていたが、こんなことになったのだから守ってくれたとは言えないな。と、自分の運命を受け入れられないまま夜中に泣いた。

少し具合がよくなって来た時、時間を持て余していてブレスレットをいじっていた。買ったときに「危険なことがあると切れたり、無くなったりすることによって守ってくれるんだ」と聞いていたが何度見ても傷一つついていないし、無くなってもいない。どれだけブレスレットに文句を言ったとしても今の自分の運命を変えることはできない。自分自身の姿が自分で想像できないほど苦しんでいたし、明日に期待を持つことさえできない。いや、明日が来ることさえ信じられないという方が正しい。苦しい時間をひたすら耐えるしかなかった。

この時の私は3週間の間、首に壁が作られ固定されて横にも向けず上しか向けなかったのだが、通常は精神的に異常をきたすことが多いらしい。そのため私にも精神科の先生がもしものために待機していたそうだ。その私の精神が持ちこたえたのは恭平、ジュディー、さくらの存在だった。3匹の現状を撮影して来てもらい壁に貼りまくった。医師、看護師の間で話題になるほど愛犬バカは病院内に知れ渡った。母に聞くとジュディーとさくらは私が入院してから1週間ほど私の部屋で寝ていたそうだが私が戻らないと思ったらしくさっさと父と寝るようになったらしい。しかし、恭平だけはそれでもあきらめず私の部屋で一匹だけで寝ていると言う。必ず帰る。いつまでもこんなところで寝ている場合ではない。恭平の元へ戻ろうと思えば思うほど、私の精神はクリアになっていくように感じた。

 

ふと中にあるご本尊を覗いた。私は真っ白になった。中のご本尊が粉々になっていたのだ。

このブレスレットだけではない。おもかる石の”一か月以内にアルバイトは見つからない”という答えを思い出した。この事故はそのおちょぼ稲荷へ行った日からあと数日で一か月だったのだ。

「運が悪いとこのまま半身不随です」

と言われていた私はこの時自分の運命の本当の意味を考えさせられることになった。生かされていたのだ、と。

 

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